【建築士向け】合成樹脂調合ペイント(SOP)とは、特徴や適用下地は?

塗装
  • 合成樹脂調合ペイントってどんな塗料?
  • どんなところに塗ることが出来るの?
  • メリット、デメリットは?

塗料はたくさん種類があり、用途や適用下地が違ってきます。
適切な塗装の設計ができるよう。合成樹脂調合ペイント(SOP)について解説します。

塗料の種類や記号、適用下地、特徴は一覧表として下記記事にまとめていますのでそちらもご覧ください。

合成樹脂調合ペイントとはこんな塗料

改修などで昔の図面でよく出てくる「オイルペイント(OP)」。油性ペイントなど古くから使われていた材料で顔料にボイル油を調合したオイルペイントは丈夫で長持ちがすることで広く利用されていたのですが、乾燥が極端に遅い、耐候性があまりよくないなどの欠点がありました。

そんな欠点を補うためにオイルペイントで用いていたボイル油を合成樹脂である長油性フタル酸樹脂を用いた塗料で油性ペイントの長所を生かしつつ欠点を解消したものが「合成樹脂調合ペイント(SOP)」になります。

以前はペンキと言えば「オイルペイント(OP)」のことでしたが、今ではペンキと言えば「合成樹脂調合ペイント(SOP)」のことを指すことが多いです。

ホームセンターで販売されているDIYで使う塗料も「合成樹脂調合ペイント(SOP)」が一般的になってきています。

ちなみにフタル酸樹脂を用いたものにはほかにフタル酸樹脂エナメルがあります。
フタル酸樹脂エナメルは中油性のフタル酸樹脂を用いています。

合成樹脂調合ペイントの略号

合成樹脂調合ペイントは略号として「SOP」と表記されています。

日本産業規格のJISでは「JIS K 5516 」で1種、2種に分かれます。
1種は主に建築用、2種は大型鋼構造物用に分類されています。

合成樹脂調合ペイントの適用場所

「合成樹脂調合ペイント(SOP)」は古くから様々なところに用いられています。
特に鉄部の塗装、木部の塗装に使われてきています。

鉄部は屋内、屋外ともに適用でき。木部の不透明塗装仕上げとして屋内、屋外に用いることが出来ます。

一般的に広く用いられていますが、アルカリ性のコンクリートやモルタルに接する場所では変色や軟化が起こるので設備課題や建具等の鉄面の塗装は避けるよう注意が必要です。

公共建築工事標準仕様書では、「木部」「鉄鋼面」「亜鉛めっき鋼面」に適用されます。

耐用年数

屋外や屋内、鉄鋼面や木面等の素地により違いがあるが耐用年数は2~5年と短い。

耐用年数が短いがコストも低く、ケレンをしっかり行えば比較的塗り替えがしやすいので現在でも広く使われています。

より耐用年数を考えて合成樹脂エマルションペイント(EP-G)を用いられる場合も多くなっていますが、コストとの兼ね合いで採否を選ぶといいです。

合成樹脂調合ペイントのメリット、デメリット

メリット

  1. 仕上りは刷毛目が少なく平滑
  2. つや有、つや消しの調整が可能
  3. 塗りやすい
  4. 塗り替えが容易
  5. 乾燥時間が早い
  6. コストが安め

デメリット

  1. 耐候性のレベルが低く、2~3年で白亜化 ( チョーキング )がおきる
  2. 耐水性は劣る
  3. コンクリートなどのアルカリ性の素材との取合いに注意
    雨水などによりコンクリートのアルカリ成分が流れ出すことにより塗膜が変色したりする。

特記仕様書の書き方

特記仕様書は各会社により違いがありますが、おおむねJASSや公共建築工事標準仕様書をもとに作られていることが多いです。
特記仕様書にA種やB種と記載されているのを見たことがある方も多いと思います。

木部の合成樹脂調合ペイント塗りの場合は一般的には屋外はA種、屋内はB種とします。
A種の方が耐候性があるということです。

鉄部の合成樹脂調合ペイント塗りの場合は一般的にB種を用いますが、こちらもA種は耐候性があります。

詳しい解説は「建築工事監理指針(下巻)」や日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 18」に載っています。
素地調整や塗装の工程についても載っていますので知識を増やすためにも確認することがおすすめです。
大抵の設計事務所にそろえてあると思いますので読んでみましょう。

まとめ

合成樹脂調合ペイントは塗りやすく安価なため、工事現場やDIYで幅広く用いられており、汎用的に用いられています。

しかし、合成樹脂調合ペイントは以前は代表的な塗料でしたが今では性能に優れた様々な塗料が出てきており、性能だけを見ると塗料の中でも低レベルなものになってしまいました。

設計者として合成樹脂調合ペイントの特徴、適用素地を理解し、耐用年数が短くランニングコストがかかることと、施工コストが安いこと、性能を考慮してバランスの良い設計が求められます。

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