- つや有り合成樹脂エマルションペイントってどんな塗料?
- 外部にもつかえるの?
- どういったところに使うことができるの?
塗料はたくさん種類があり、用途や適用下地が違ってきます。
適切な塗装の設計ができるよう。つや有り合成樹脂エマルションペイント(EP-G)について解説します。
塗料の種類や記号、適用下地、特徴は一覧表として下記記事にまとめていますのでそちらもご覧ください。
つや有り合成樹脂エマルションペイントとはこんな塗料
つや有り合成樹脂エマルションペイント(EP-G)とはつやの有る合成樹脂エマルションペイントのことです。合成樹脂エマルションペイントは通常はつやの無い仕上がりとなりますが、技術の進歩により高い光沢(つや)を出すことが可能になりました。つやを付けることにより耐水性や耐候性が向上しています。
合成樹脂エマルションペイントと同じで、コンクリートや石膏ボード下地などの塗装に用いられ、さらに内装の鉄部や木部の塗装にも使えます。水で希釈できる水溶性塗料なので作業性がよく環境にやさしい塗料です。つやを付けることにより耐水性、耐候性が向上し、内外装で使用することが出来、軒裏や内部の造作金物や鋼製建具などの仕上げとして使われたりしています。
つや有り合成樹脂エマルションペイントの記号
つや有り合成樹脂エマルションペイントは略号として「EP-G」と表記されます。
以前はGPとも表記されている場合がありました、既存図などで見ることがあるかもしれません。
ちなみにGPは「塩化ゴム系エナメル塗り」の略号としても使われていましたが、現在は環境配慮のためJIS規格が廃止されています。
日本産業規格(JIS)では「JIS K 5660」に規定されています。
つや有り合成樹脂エマルションペイントの適用場所
「つや有り合成樹脂エマルションペイント」は内外装の仕上げ材として多用されています。
適用下地は、以下のような場所になります。
屋外では軒裏などそこまで雨掛かりが無い部分などに使うことが多く、屋内では改修工事などの鋼製建具などの鉄部でSOP塗装だと臭いや化学物質濃度が気になる場合に使われたり、つや有はつや無しより汚れが付きにくいので手垢などがつく恐れのある場所やトイレなどの軽い水掛かりがある部分にも用いられたりしています。
外部でも使えるの?
つや有り合成樹脂エマルションペイント(EP-G)はつやを付けることにより耐久性、耐候性が合成樹脂エマルションペイント(EP)より向上しているのである程度外部に使うことが出来ます。
しかし、外部の雨掛かり部分に使う場合はより耐候性があり塗り替えスパンが長いDP塗装などが性能、経済性に優れているので、イニシャルコスト、ランニングコストを考えての設計が求められます。
実際の実務で外部に使うのは、雨があまり掛からない軒裏に使うことが多いです。
つやはどれぐらい付けるの?
内装の壁に使う場合はつやが有ると下地の粗が目立ったり、テカテカした落ち着きがない空間になってしまうことがあるので3分つや、水掛かりがある場所は5分つやにして落ち着きのあるナチュラルな仕上りにすることが多いです。
※7分つや、5分つや、3分つやはメーカーによってはJIS規格外の場合があるので注意が必要です。
つやのメリットデメリット
つや有りのメリット
- 汚れが付きにくい
- つやが有る方が耐候性が高い
- つやが有る方が水に強い
つや有りのデメリット
- 下地の仕上がりが悪いと目立つ(凹凸が目立つ)
- つやがあると安っぽい印象と言われる。(つやが少ない方が落ち着いた高級感のある雰囲気になる。)
耐久性、耐用年数
特記仕様書の書き方
特記仕様書は各会社により違いがありますが、おおむねJASSや公共建築工事標準仕様書をもとに作られていることが多いです。
公共建築工事標準仕様書で定められているつや有り合成樹脂調合エマルションペイントはA種、B種があり、A種は美装を目的にしたものの高級仕様。B種は一般的な塗装仕上げを示しています。通常はB種で十分です。
A種、B種の違いは下地の研磨や中塗りの回数を多くするなどで、仕上りの平滑さなどに違いが出てきます。
公共建築工事標準仕様書では天井面等の見上げ部分は研磨紙ずりを省略しているのは、天井は見られることが少なく、高さがあり見えにくいため外観上問題がないとして省略されているようです。
詳しい解説は「建築工事監理指針(下巻)」や日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 18」に載っています。
素地調整や塗装の工程についても載っていますので知識を増やすためにも確認することがおすすめです。
大抵の設計事務所にそろえてあると思いますので読んでみるのがおすすめです。
まとめ
つや有り合成樹脂エマルションペイントの特徴 | |
記号 | EP-G、JIS K 5660 |
適用場所 |
塗料の中でも内部用の仕上げとして非常に多く使用されている。 |
適用下地 |
モルタルやコンクリートなどのセメント系素地や石こうボード、けい酸カルシウム板、スレート板など 屋内の木部や鉄鋼面、亜鉛めっき鋼面 |
耐久性 | 内部での利用は問題ないが、外部塗装での耐用年数は5年程度 |
環境配慮 |
水溶性塗料で溶剤を使わないので環境にやさしく、においも少なく、低VOCで健康にもやさしい |
特徴 |
・塗料によって、7分つや、5分つや、3分つやがある。 ・汚れが比較的付きにくい ・つやが強いと仕上りの凹凸が目立つので下地調整に注意が必要 |
つや有り合成樹脂エマルションペイント(EP-G)はつやが無い合成樹脂エマルションペイント(EP)と同様に内装の塗装材料として非常に多用されている塗料で今でもエマルション技術が進歩しており、これからも内装仕上げ材料として使われていく塗料だと思います。
建築の内装塗装仕上げで主力と言ってもいい塗料なので特徴や適用下地を理解して適切に設計していきたいですね。