【建築士向け】耐候性塗料(DP)とは、特徴や適用下地は?

塗装
  • 耐候性塗料(DP)ってどんな塗料?
  • どんなところに塗ることが出来るの?
  • 特徴は?

塗料はたくさん種類があり、用途や適用下地が違ってきます。
適切な塗装の設計ができるよう。耐候性塗料(DP)について解説します。

塗料の種類や記号、適用下地、特徴は一覧表として下記記事にまとめていますのでそちらもご覧ください。

耐候性塗料とはこんな塗料

以前は耐候性が必要な外装材などに使う塗装には常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)などが図面に書かれていましたが、今では耐候性塗料(DP)と書かれているのをよく見るようになったと思います。

耐候性塗料(DP)とは、もともとは別々の塗料としてJISで規定されていた2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)、アクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)、常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)のJIS規格が統合されたことにより公共建築工事標準仕様書でこれまで記載されていた上記塗装を削除し、新たに上記塗装を統合した耐候性塗料(DP)として記述が追加されてできたものです。

耐候性塗料(DP)は耐候性に優れたものから1級、2級、3級に分かれていて、一般に1級は常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)、2級はアクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)、3級は2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)が対応しています。ただし、等級区分は屋外暴露耐候性などの評価で決まるのでアクリルシリコン系などふっ素形塗料ではなくても1級の製品が存在します。

耐候性塗料の略号

耐候性塗料は「公共建築工事標準仕様書」に規定されており、略号として「DP」と表記されています。

日本工業規格のJISに対応するものは鉄鋼面や亜鉛めっき鋼面などは「JIS K 5659 (鋼構造物用耐候性塗料」、コンクリート面及び押出セメント板面では「JIS K 5658(建築用耐候性塗り塗料)」になります。

日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説(JASS 18)では耐候性塗料という記載はなく、常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)などが記載されています。

耐候性塗料の適用場所

耐候性塗料は屋外の鉄鋼面、亜鉛めっき鋼面、コンクリート面などに適用が可能です。

鉄鋼面、亜鉛めっき鋼面、コンクリート面に適用可能ですが、下地により各々下塗りが違っていますので現場監理の時はしっかりと確認が必要です。

耐用年数

耐用年数は目安としてですが、3級の2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)では7、8年程度、2級のアクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)10~12年程度、1級の常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)15年程度になります。

  等級 名称 耐用年数(目安)
耐候性塗料(DP) 1級 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE) 15年
2級 アクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE) 10~12年
3級 2液形ポリウレタンエナメル(2-UE) 7、8年

耐候性塗料の特徴

耐候性塗料の2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)、アクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)、常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)が統合されたもので左記のもの各々特徴がありますのでここで解説します。

3級 2液形ポリウレタンエナメル(2-UE)の特徴

耐候性塗料の中で一番グレードが落ちる塗料となりますが、耐候性塗料以外のほかの塗装と比べると塗膜性能・美装性ともに優れていて高級な仕上げに位置付けられます。

仕上りは耐候性上つやの調整をしない方がよく、半つややつや消しは屋内での塗装に使われる。

2級 アクリルシリコン樹脂エナメル(2-ASE)の特徴

耐候性塗料の中で中程度のグレード、耐久性はふっ素樹脂塗料に迫り、コストもポリウレタン樹脂塗料とふっ素樹脂塗料の中間に位置し、コストパホーマンスがいいです。

乾燥時間が短く、乾燥中にほこりが付きにくいという長所があり、低温硬化もできて作業性もいいです。

樹脂が透明で着色剤による発色がよく、つや調整を行っても耐候性は低下しないです。

1級 常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)

耐候性塗料の中で一番グレードが高く、コストも高いですが、耐候性、耐用年数も一番で一度塗れば長期間塗り替えがようというメリットがあります。

耐候性、耐用年数が長いので高層ビルや橋脚、プラントなど塗り替えするのが大掛かりになるような建物にの仕上げによく使われています。

樹脂が透明で比較的自由な配色が可能で、つや調整をおこなっても耐候性の低下がないです。

特記仕様書の書き方

特記仕様書は各会社により違いがありますが、おおむねJASSや公共建築工事標準仕様書をもとに作られていることが多いです。

公共建築工事標準仕様書で定められている耐候性塗料は鉄鋼面耐候性塗料塗り、亜鉛めっき鋼面耐候性塗料塗り、コンクリート面及び押出成形セメント板面耐候性塗料塗りの3つに分かれていて、その中のどの下地に塗る塗装かを特記仕様書に記載することが大切です。

詳しい解説は「建築工事監理指針(下巻)」や日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 18」に載っています。
素地調整や塗装の工程についても載っていますので知識を増やすためにも確認することがおすすめです。
大抵の設計事務所にそろえてあると思いますので読んでみましょう。

まとめ

耐候性塗料は公共建築工事標準仕様書で定めらていて日本建築学会建築工事標準仕様書・同解説(JASS 18)では耐候性塗料の記述はないく、以前のままの常温乾燥形ふっ素樹脂エナメル(2-FUE)などが記載されていますのでJASS 18に記載のどの塗料が耐候性塗料に対応しているのか理解がすれば耐候性塗料がわかると思います。

耐候性塗料は屋外の外装などよく使われるので、設計者として等級による耐候性塗料の特性を理解し、コストを考慮したバランスの良い設計が求められます。

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