- クリアラッカーってどんな塗料?
- 木部に塗ることが出来るのは知っているけどどんな効果があるの?
- メリット、デメリットは?
塗料はたくさん種類があり、用途や適用下地が違ってきます。
適切な塗装の設計ができるよう。クリアラッカー(CL)について解説します。
塗料の種類や記号、適用下地、特徴は一覧表として下記記事にまとめていますのでそちらもご覧ください。
クリアラッカーとはこんな塗料
木材塗装で汎用的に使用させている透明塗料で、ニトロセルロース(硝化綿)と合成樹脂、可塑剤、溶剤を主成分としており、植物細胞の主成分のセルロースを塗料成分としているので木材によくなじむ塗料です。
このクリアラッカーに顔料を加えたものが不透明塗料のラッカーエナメル塗料になります。
クリアラッカーの略号
クリアラッカーは略号として日本建築学会のJASS 18では「LC」、公共建築工事標準仕様書などでは「CL」と表記されています。
日本工業規格のJISでは「JIS K 5531 」に定められています。
JIS K 5531はニトロセルロースラッカーのうち、透明塗装のクリアラッカーのほかに不透明塗装のラッカーエナメル塗りも含まれています。
クリアラッカーの適用場所
クリアラッカーは屋内の木部が適用素地で、主に家具や室内の巾木や建具、木板張りの仕上げなどに用いられています。
無垢材や集成材、合板など木質系材料が適用素地です。
耐用年数
屋内に用いる塗料であるので、使用状況によりますが耐用年数は長いです。
クリアラッカーのメリット、デメリット
メリット
- 木目を生かした自然な仕上り
- 1液形塗料であり、扱いやすい
- 作業性が良い。塗りやすく、乾燥も早く塗装にかかる時間が短い
- 補修が容易。部分補修でも古い部分となじみやすい
- コストが比較的安い
デメリット
- 耐候性に劣り屋外に不向き
- 耐水性、耐熱性、耐溶剤性などが劣り、屋内でもテーブルの天板、床材などの水掛かりの恐れがある部位には不向き
下地調整
透明で、木材の質感を残す塗料であるため、素地の汚れや傷、水濡れも仕上りに影響するので、節止めや穴埋め、素地の研磨紙ずりが重要です。
特記仕様書の書き方
特記仕様書は各会社により違いがありますが、おおむねJASSや公共建築工事標準仕様書をもとに作られていることが多いです。
特記仕様書にA種やB種と記載されているのを見たことがある方も多いと思います。
クリアラッカー塗りは公共建築工事標準仕様書ではA種、B種があり、一般的には特記が無ければB種となります。
A種はより平滑できれいな仕上がりとなりますが、中塗りや上塗りの工程が多くコストがかかります。
詳しい解説は「建築工事監理指針(下巻)」や日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説 JASS 18」に載っています。
会社にもあると思うので知識を増やすためにも確認してください。
まとめ
クリアラッカーは塗りやすく安価なため、造作家具やDIYで幅広く用いられており、汎用的に用いられています。
しかし、耐候性や耐水性、耐溶剤性が劣るため屋外には利用できず、屋内でも水がかかる恐れのあるテーブルや造作材などは不向きです。
設計者としてクリアラッカーの特徴、適用素地を理解し、コストと性能を考慮してバランスの良い設計が求められます。