- 建築に使う材料ってどんなものでも使っていいの?
- この素材を使いたいけど使ってダメな素材ってあるの?
※耐火建築物や内装制限など防火関係規定にかかわる部位に用いる不燃材料などの建築材料の制限については記載していません。
設計していくうえで使いたい素材があっても、この素材って使っても大丈夫なのだろうか?規定があるんじゃないかと考えることがあると思います。
ご存じのように建物は安全であることが重要でその建物を作るための建築の材料も安全であることが必要です。
そのため、建築基準法では法第37条に特定の部位に用いる材料についての規定があり、建築に使える材料いついての記述があります。
合わせて、建築材料の安全性を担保する規格として日本産業規格や日本農林規格などの規格があります。
この記事では建築基準法で建築材料について記載されている条文の建築基準法第37条の指定建築材料について解説します。
建材を使うことができるかは上記のほかに耐火建築物や内装制限等、防火避難規定による場合もとても多いですのでそちらも注意してください。
建築基準法による建築材料の品質、指定建築材料
建築物には安全性の確保の必要性から、重要な部分にはどんな建築材料を使ってもいいというわけではありません。
使ってもいい建築材料については建築基準法第37条に規定されており、「指定建築材料」と呼ばれます。
指定建築材料とは
指定建築材料の対象部材は「建築基準法施工令第144条の3」に規定されていて、具体的には「告示 平12建告第1446号(最終改定平成28年6月13日国土交通省告示814号」に定められています。
その指定建築材料はどんな建築材料を使ってもいいというわけではなく、指定建築材料を定義している建築基準法37条の1項一号、2号にどんな建築材料を使わないといけないか定められています。
下記に法文と告示の一部を記載しましたのでご確認ください。
法文、告示の確認
建築基準法
(建築材料の品質)
第37条
建築物の基礎、主要構造部その他安全上、防火上又は衛生上重要である政令で定める部分に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるもの(以下この条において「指定建築材料」という。)は、次の各号のいずれかに該当するものでなければならない。一 その品質が、指定建築材料ごとに国土交通大臣の指定する日本産業規格又は日本農林規格に適合するもの
二 前号に掲げるもののほか、指定建築材料ごとに国土交通大臣が定める安全上、防火上又は衛生上必要な品質に関する技術的基準に適合するものであることについて国土交通大臣の認定を受けたもの
建築基準法施工例
(安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分)
第114条の3
法第37条の規定により政令で定める安全上、防火上又は衛生上重要である建築物の部分は、次に掲げるものとする。一 構造耐力上主要な部分で基礎及び主要構造部以外のもの
二 耐火構造、準耐火構造又は防火構造の構造部分で主要構造部以外のもの
三 第109条に定める防火設備又はこれらの部分
四 建築物の内装又は外装の部分で安全上又は防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの
五 主要構造部以外の間仕切壁、揚げ床、最下階の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段、バルコニーその他これらに類する部分で防火上重要であるものとして国土交通大臣が定めるもの
六 建築設備又はその部分(消防法第二十一条の二第一項に規定する検定対象機械器具等及び同法第二十一条の十六の二に規定する自主表示対象機械器具等、ガス事業法第二条第十三項に規定するガス工作物及び同法第百三十七条第一項に規定するガス用品、電気用品安全法(昭和三十六年法律第二百三十四号)第二条第一項に規定する電気用品、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第二条第七項に規定する液化石油ガス器具等並びに安全上、防火上又は衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるものを除く。)
告示 平12建告1446号
最終改定 平成28年6月13日国土交通省告示第814号建築物の基礎,主要構造部等に使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術的基準を定める件
第1 建築基準法(以下「法」という。)第37条の建築物の基礎,主要構造部その他安全上,防火上又は衛生上重要である部分に使用する建築材料で同条第一号又は第二号のいずれかに該当すべきものは,次に掲げるものとする。ただし,法第20条第1項第一号の規定による国土交通大臣の認定を受けた構造方法を用いる建築物に使用される建築材料で平成12年建設省告示第1461号第九号ハの規定に適合するもの,法第85条第5項の規定による特定行政庁の許可を受けた仮設建築物に使用される建築材料及び現に存する建築物又は建築物の部分(法第37条の規定又は法第40条の規定に基づく条例の建築材料の品質に関する制限を定めた規定に違反した建築物又は建築物の部分を除く。)に使用されている建築材料にあっては,この限りでない。
一 構造用鋼材及び鋳鋼
二 高力ボルト及びボルト
三 構造用ケーブル
四 鉄筋
五 溶接材料(炭素鋼,ステンレス鋼及びアルミニウム合金材の溶接)
六 ターンバックル
七 コンクリート
八 コンクリートブロック
九 免震材料(平成12年建設省告示第2009号第1第一号に規定する免震材料その他これに類するものをいう。以下同じ。)
十 木質接着成形軸材料(木材の単板を積層接着又は木材の小片を集成接着した軸材をいう。以下同じ。)
十一 木質複合軸材料(製材,集成材,木質接着成形軸材料その他の木材を接着剤によりⅠ形,角形その他所要の断面形状に複合構成した軸材をいう。以下同じ。)
十二 木質断熱複合パネル(平板状の有機発泡剤の両面に構造用合板その他これに類するものを接着剤により複合構成したパネルのうち,枠組がないものをいう。以下同じ。)
十三 木質接着複合パネル(製材,集成材,木質接着成形軸材料その他の木材を使用した枠組に構造用合板その他これに類するものを接着剤により複合構成したパネルをいう。以下同じ。)
十四 タッピンねじその他これに類するもの(構造用鋼材にめねじを形成し又は構造用鋼材を切削して貫入するものに限る。)
十五 打込み鋲(構造用鋼材に打込み定着するものをいう。以下同じ。)
十六 アルミニウム合金材
十七 トラス用機械式継手
十八 膜材料,テント倉庫用膜材料及び膜構造用フィルム
十九 セラミックメーソンリーユニット
二十 石綿飛散防止剤
二十一 緊張材
二十二 軽量気泡コンクリートパネル
二十三 直交集成板(ひき板又は小角材(これらをその繊維方向を互いにほぼ平行にして長さ方向に接合接着して調整したものを含む。)をその繊維方向を互いにほぼ平行にして幅方向に並べ又は接着したものを,主として繊維方向を互いにほぼ直角にして積層接着し3層以上の構造を持たせたものをい第2以降は略します。
建築材料の法律、規格一覧まとめ
建築材料の法律、規格をまずざっくりと把握するため下記表にまとめました。
細かい解説は各記事をご覧ください。
■建築基準法(指定建築材料)
■建築材料の規格
規格名 | 説明 | 備考 |
日本産業規格(JIS) |
産業標準化法に基づき制定された国家規格。英語表記を略してJISと呼ばれる 鉱工業品について定められている。建築ではコンクリートや鋼材、石膏ボードなど多岐にわたる。 |
従来は日本工業規格と呼ばれていたが2019年7月1日の法改正に伴い改称された。 建築材料については建築基準法第37条(指定建築材料)1項一号により法的拘束力あり |
日本農林規格(JAS) |
日本農林規格等に関する法律に基づき制定された国家規格。英語表記を略してJASと呼ばれる。 食品・農林水産品について規定されている。建築では構造用合板や集成材、合板などの木質材料が規定されている。
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建築材料については建築基準法第37条(指定建築材料)1項一号により法的拘束力あり |
日本建築学会建築工事標準仕様書(JASS) |
規格ではなく、法的拘束力は無いですが、施工の指針として多くの工事に採用されています。 日本建築学会が仕様書の標準化を目的に制定したものです。日本建築学会建築工事標準仕様書の英語表記を略してJASSと呼ばれる。 |
法的拘束力無し |
国際標準化機構(ISO) | ISOとは国際的な取引などをスムーズに行うために基準を統一、標準化を目的に設立された国際標準化機構の略称。 ISOとは団体の略称だが、その団体が定めた規格についても意味している |
建築材料に係わる日本産業規格(JIS)はISOと整合性が図られている。 建築業界ではISOマネジメントシステムのISO9001(品質)やISO14001(環境)の認証取得 |
まとめ
まとめると、法37条に規定されている部位に用いる建築材料のことを指定建築材料と呼び、基本的に指定建築材料はJIS、JAS又は国土交通座大臣の認定を受けたものしか使うことはできません。
現場での受入検査の時はJISやJASなど適合しているものか確認する必要がありますので頭に入れておくといいです。