- 色モルタルってどんなものなの?
- 通常のモルタルとの違いは?
- どんな場所につかえるの?
モルタル塗りにしたいけど普通のグレーだとイメージが違うなぁ。グレーは嫌だし他の仕上げにしようか…って考えたことのある方は多いと思います。
まだモルタル塗りを諦めるのは早いです!モルタルに色を付けることが出来るんです。
そんな色モルタル、カラーモルタルについて情報をお伝えします。
建築士向けとして左官の種類や記号、適用下地、特徴は一覧表として下記記事にまとめていますのでそちらもご覧ください。
色モルタル仕上げ、カラーモルタルとは
色モルタル(カラーモルタルとも呼ばれます)とは白色ポルトランドセメントに顔料を加えて着色したモルタルをいいます。
他にも通常のグレーのセメントに墨を入れた墨入りモルタルや、既調合で色を付け製品化されたモルタルなども色モルタルになります。
基本的にコンクリートなどの下地の上に仕上げ材として塗り、壁は薄塗り、床は厚塗りが一般的です。
白色ポルトランドセメントの色モルタルとは
通常のモルタルは普通ポルトランドセメント(一般的なセメント)を砂と水で練り合わせて作ります。
セメントで練り上げて仕上げた場合はグレーの仕上がりになりますが、そのセメントを白色ポルトランドセメントに変えて練り上げれば白色になり、白色モルタルとなります。そのまま仕上げると真っ白に仕上がります。
そんな白色モルタルに顔料を入れることにより任意の色にすることが出来るのです。それが色モルタルになります。
- 白色ポルトランドセメントは通常のセメントより鉄分の含有量を減らし白色にしています。それ以外は普通ポルトランドセメントと同様の性質です。
- 通常のセメントと製造法が異なるので一般的にコストは高いです。
- JISなどの規格が無いので品質はメーカー独自の基準になります。
建築基準法第37条に規定されている主要構造部などに必要な指定建築材料としては使えない場合があるので注意が必要です。
下記に指定建築材料について解説した記事リンクを貼っておきますのでご確認ください。
墨入りモルタルとは
通常のモルタルのグレーを黒くしたい場合は、通常のセメントで練り上げたグレーのモルタルに墨を加えて黒くする手法もあります。墨入りモルタルとも呼ばれ色モルタルの一種になります。
ただ施工後はいい色がでていても乾燥すると白っぽくなったりします。それがムラになり味があっていい場合もありますが、施主のイメージにあったものを作るには墨の配合を調整しながら実際にやってみないとわからないものなので施工が困難です。
また、乾燥し仕上がったばかりの時に触ると墨がついたり、粉塵が室内に広がり真っ黒になる場合があります。
墨入りモルタルの上にクリア塗装でコーティングをすれば墨がつくこともなくなりますが土間など頻繁に歩行する床に用いた場合は小石や重量物を置いたときなどコーティングが傷付く可能性が高くそこから粉塵が発生することもあります。
上記のことがあるので墨入りモルタルを採用する場合は施主にしっかりと説明し理解してもらうことが大切です。
墨入りモルタルのメリット、デメリットまとめ
■メリット
- 比較的に低コスト
- 普通のセメント(普通ポルトランドセメント)と墨を使うので手に入りやすい
- ムラに味がある
■デメリット
- 施工後時間がたつと色味が変わってくる。
- 触ると墨がつく場合がある。
- 施主のイメージ通りの仕上がりにするのが難しい
既調合の色モルタルとは
色モルタルで最も手軽なものに既調合のモルタルがあります。DIYにも手軽に使えるものもあるのでお勧めです。
白色ポルトランドセメントに顔料を加えて色を調整するとなると希望の色にならなかったり色むらが出来たりと失敗する恐れがありますが、既調合の色モルタルは色が安定しています。
また、既調合の色モルタルを使えば顔料を買う必要が無く顔料を選ぶ手間が省け、荷物も減るのでDIYでは特に便利です。
既調合のモルタルは、いろいろなメーカーから製品化されていその一部を紹介します。
現場に適している製品
現場向けの既調合のモルタルとしてはテクノスジャパン株式会社の「テクノカラー」があります。
ちなみに、色モルタルではないですが、現場では色がついた塗り壁を施工する場合は珪藻土やアイカ工業のジョリパットなども使われていて、色をついた塗り床を施工する場合はABC商会の「カラクリート」などが使われる場合も多いです。
■テクノスジャパン株式会社
「テクノカラー」
全66色と豊富なカラーを揃えて塗料では表現できないモルタルの風合いがある仕上りになります。仕上げも平滑な金ゴテ押さえ、刷毛引き、天然石洗い出し仕上げなどが可能。
塗装と違い、塗った厚み全体がカラーになるので摩耗による下地露出が起きにくく、美観を長期間維持できます。
砂利をまぜて、カラーコンクリートにすることも可能です。倉庫や工場の床にも適しています。
DIYに適している製品
アマゾンや楽天などで買えるものだと株式会社オーエヌグループの「あざやか!カラーセメント」やマツモト産業株式会社の「色モル」などがあります。
■株式会社オーエヌグループ
「あざやか!カラーセメント」
名前からもわかるように鮮やかな色が特徴の既調合の色セメントです。
また、独自製法によって少ないセメント量で強度が出るので経済的にもお得!
砂が入っていないので、別に砂を買う必要がありますがその分、砂が混ぜてある製品より1袋で施工できる面積が多くなります。
■マツモト産業株式会社
「色モル」
一般的なモルタル塗りと同じ工法で施工できます。
材料は白色セメントに砂、無機質顔料を加えたもので、あとは水を加えるだけで色モルタルが出来ます。
その他の色を付ける方法
モルタル面の塗装
色を付けるのであれば白色ポルトランドセメントで白色で仕上げた面に塗装で任意の色に仕上げることも可能です。
色モルタルと、白色モルタルに塗装ともに任意の色に仕上げることが出来ますが、塗装の場合は表面が削れたりすると下地のモルタルが出てくるのに対して、色モルタルで仕上げた場合は削れても塗り厚分は同じ色が出てきますので、特に削れたりしやすい床面に色を付ける場合は色モルタルがおすすめです。
白色モルタルにどの塗装が適しているかは下記記事の塗装一覧で確認できます。
コンクリートに塗装できるものであれば白色モルタルに塗ることができるのでご確認ください。
コンクリートに色を付ける
DIYでは出来ないですが、床のコンクリート打設時に材料を散布して下地と一体化し、着色された塗り床仕上げにできる製品があります。
色がついている材料で様々な色にすることができ、コンクリートの質感を生かした表情を出せる材料です。
耐摩耗性、耐衝撃性があり、工場や倉庫、商業施設、カーポートなどによく用いられます。
まとめ
- 色モルタルは「白ポルトランドセメントに顔料を加えたもの」「墨入りモルタル」「既調合で製品化されたもの」などがある。
- 強度や性質は基本的には普通ポルトランドセメントでつくったモルタルと同じ
- 色モルタルに似たような仕上りになる方法として、白色モルタルに塗装仕上げや、壁では珪藻土塗りやジョリパット塗りがあり、床ではカラクリートなどの塗り床がある。
- 色モルタルで施工された壁や床は仕上りに塗り厚があるので摩耗しても下地が表れにくい。
色モルタルで施工した壁や床は、モルタル独自の自然な表情を出すことが出来ます。
色のムラやコテの跡も味があって素敵な仕上りだと思います。
プロの施工以外にもDIYにも適している製品があり誰でも気軽に楽しめる材料です。