・左官にはどんな種類があるの?
・左官の種類によってどんな特徴があるの?
本記事では建築の設計に必要な「左官の知識」の中の左官の種類、適用下地、特徴をまとめています。
左官の種類の一覧表
左官工事については国土交通省の「公共建築工事標準仕様書」や日本建築学会の「建築工事標準仕様書・同解説JASS 15 左官工事」等に記載されています。
左官工事といえば漆喰やモルタル塗りがあるが、「公共建築工事標準仕様書」によると、吹付仕上げやロックウール吹付も左官工事にふくまれます。
下記表に一般的な国土交通省の「公共建築工事標準仕様書」に記載の左官の種類、適用下地、特徴をまとめました。
名称 | 適用下地 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|---|
モルタル塗り 解説 | 鉄筋コンクリート、ブロック等 | 土間、モルタル仕上げ面、タイル張りやブロックの下地等 | ひび割れしやすい、コンクリートより平滑な仕上が可能 |
床コンクリート直均し仕上げ | 床コンクリート打設後のコンクリートの表面を金ゴテ仕上する仕上げ | 直均しのまま利用、塩ビシート等の張りもの敷物の下地 | 工場では直均し仕上げの上に耐摩耗性塗床を施すこともある |
セルフレベリング材塗り | コンクリート下地等 | 内装の下地表面を平滑にし、張物下地とするために用いる | 液体のように流動性があり自然に水平になる、ひび割れしやすい |
仕上塗材仕上げ | コンクリート、ALC、ボード面等 | 外内壁、軒裏、天井の仕上材、耐候性の確保も可能 | 砂壁状、ゆず肌、スタッコ等仕上面に表情をつけることが可能、任意の着色が可能 リシン吹付や吹付タイルと呼ばれるものがある |
マスチック塗材塗り | コンクリート、スレート板等 | 外内壁、軒裏、天井の仕上材 | 耐久性が高い、ローラーを用いて塗る |
せっこうプラスター塗り | ラス下地、コンクリート、ブロック、レンガ、ALC | 内壁、天井の下地、仕上材 | 「せっこう」を原料とする。平滑で輝がある仕上り、「西洋漆喰」とも呼ばれる、ひび割れしにくい |
ドロマイトプラスター塗り | ラス下地、コンクリート、ブロック、レンガ | 内壁、天井の仕上材 | 「ドロマイト(白雲石)」を原料とする。施工性がよいが乾燥収縮するのでひび割れに注意が必要 |
しっくい塗り | ラス下地、コンクリート、ブロック、レンガ | 外内壁 | 調湿性、消臭効果がある。色粉を加えた色漆喰がある。 |
こまい壁塗り | こまい下地 | 内壁 | 日本の伝統的な土壁。竹や木で縦横に組んだ下地に壁土を塗る |
ロックウール吹付け | 吸音、断熱 | 「公共建築工事標準仕様書」では鉄骨工事の耐火被覆を除く半・乾式工法を左官の項目に記載している |
左官工事には上記表に記載の仕上げ以外に、下地についてや材料の配合等大切な事項がありますので、設計を行う際は適切な下地の記載をし、現場監理では適切な配合かを確認する必要があります。
まとめ
上記表に国土交通省の「公共建築工事標準仕様書」に記載されている一般的な左官の種類、適用下地、特徴をまとめました。
設計を行う際に左官の特徴を把握し、適切な設計をするために利用いただければとおもいます。