- 屋根の仕上によっての適正勾配を知りたい!
- 適正な屋根の勾配を把握して設計にいかしたい!
そんな時に確認できる情報をまとめました。
建物の不具合で致命的になる雨漏れ、施工不良が原因のこともありますが、緩すぎる勾配や軒ゼロであったり、複雑な屋根形状で谷部が雨仕舞の弱点になってしまったりと設計の問題も多くあります。
雨風にさらされる屋根の劣化は建物の寿命にも大きくかかわるため適正な勾配、適切な納まりのもとに美しい屋根デザインをすることが設計者に求められています。
ここでは設計時に参考にできるよう、屋根の仕上げ材により違ってくる屋根勾配、参考になるメーカーのホームページをまとめました。
屋根の勾配まとめ
■瓦葺き
材料 | 流れ長さ |
最小勾配 |
参考材料 | 備考 |
瓦葺き | 8m | 4.0/10 |
■ スーパートライ110(株式会社 鶴弥)[勾配記載ページ]
|
屋根の流れ長さが長くなると水量が多くなり勾配を急にする必要があります。 メーカーや製品によっては勾配に対する流れ長さが多少違いがあります。また、より緩い勾配や急勾配も可能なものがあります。 |
10m | 4.5/10 | |||
12m | 5.0/10 | |||
15m | 5.5/10 | |||
17m | 6.0/10 |
■緩勾配の瓦葺
設計上、最小勾配より緩い勾配でも瓦葺としたい場合は、緩勾配対応の製品も各メーカーより展開されています。
また、屋根の下葺きをより防水性のあるものにすることによって緩勾配が可能になる場合があります。参考になるメーカーリンクを下記に貼りましたので参考にしてください。
■急勾配の瓦葺
瓦葺は急勾配だと落下の危険がありますが、釘やビスなどで固定をしっかりと行えば可能です。一部役物瓦には勾配の制限があるので詳しくはメーカーに相談することが確実です。
■金属屋根葺き
材料 |
最小勾配 |
参考材料 | 備考 |
折板葺 | 3/100 |
金属屋根は工法や製品によって勾配が違ってくるので注意が必要です。 メーカーによってはもっと緩勾配にもできる製品がありますので想定している勾配が可能かは各メーカーに問い合わせしましょう。 |
|
瓦棒葺 | 5/100 | ||
たて葺 | 5/100 | ||
横葺(平葺) | 25/100 |
■化粧スレート葺き
材料 |
最小勾配 |
切妻流れ長さ |
寄棟流れ長さ |
参考材料 | 備考 |
化粧スレート | 3.0/10 | 7m | 5m | ※最小勾配、流れ長さは一般施工地域についての基準です。 | |
3.5/10 | 10m | 7m | |||
4.0/10 | 13m | 10m | |||
4.5/10 | 16m | 13m | |||
5.0/10 | 20m | 16m |
■陸屋根
RC造や鉄骨造の屋根で多く採用される陸屋根は防水材料や歩行、非歩行などでの仕上げ材によって必要な適正な勾配が違ってきます。
材料 |
勾配 |
参考資料 | 備考 |
アスファルト防水 押えコンクリート |
1/100~1/50 |
■勾配のとり方の注意点 ①勾配は躯体でとる ②コンクリート下地の場合、下地は平滑に仕上げる ③押さえコンクリート表面でも排水が出来るように仕上げる |
|
アスファルト 露出防水 (砂付きルーフィングなど) |
1/50~1/20 | ||
シート防水 |
1/50~1/20 |
|
|
塗膜防水 |
1/50~1/20 |
|
|
パラペット天端 |
1/10以上 |
|
|
屋上排水溝 |
1/200以上 |
|
「屋根がわかる!」おすすめ書籍
屋根の歴史から材料ごとの特徴、下地の工法、納まり標準ディテールや実際の建築事例でのディテールも掲載されていて納まり好きの人には見ていて楽しい本だと思います。
瓦屋根や金属屋根、スレート屋根などよく使う材料からガラス屋根や膜構造屋根についても記載されていて屋根の辞典のような存在のようにも思えます。
ただ、陸屋根についてはさらっとした記載になっているので、陸屋根の情報は少なめです。設計に、図面を描く際の参考に使える一冊です。